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年金制度改正法が成立しました!

年金制度改正法が成立しました!

 

年金制度改正法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が5月29日、第201回通常国会において成立しました。この改正は、人手不足の進行や健康寿命の延伸、高齢者や女性の就業促進といった今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることを目的としています。

主な改正内容を紹介致します。

 

◆被用者保険の適用拡大(2022年10月~)

   短時間労働者(週の労働時間が通常の労働者の3/4以上)を厚生年金保険、健康保険の被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件が段階的に 引き下げられます(現在は500人超→2022年10月100人超→2024年10月50人超)。

 

◆在職中の年金受給の在り方の見直し(2022年4月施行)

 ①在職中の老齢厚生年金受給者65歳以上の方については、在職中であっても
  年金額の改定を毎年定時に行うようになります。現状、老齢厚生年金の
  受給権を取得した後に就労した場合は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に、
  受給権取得後の被保険者であった期間を加えて、老齢厚生年金の額を改定していますが、
  退職を待たずに早期に年金額に反映します。

 

 ②60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした
  在職老齢年金制度について支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、
  現行の28万円から47万円に引き上げます。

 

◆受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月施行)

 現在、60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大します。

 

◆確定拠出年金の加入可能要件の見直し等(2022年4月施行)

 ①確定拠出年金(DC)の加入可能年齢の引上げ

  ・企業型DC:現行65歳未満→厚生年金被保険者(70歳未満)に改正

  ・個人型DC(iDeCo):現行、国民年金被保険者の資格を有し、
   かつ60歳未満→国民年金被保険者に改正

 

 ②確定拠出年金(DC)の受給開始時期の選択肢の拡大

現行は60歳から70歳の間で各個人において受給開始時期を選択できますが、
 公的年金の受給開始時期の選択肢拡大に合わせて、上限年齢を75歳に引き上げます。

 

◆その他の改正

 国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え(2022年4月)、未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加(2021年4月)、短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ(2021年4月)などが予定されています。

 

 

 

個人向け新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金の上限額引上げは?

 

◆雇用環境悪化に対するさらなる支援措置

 

 6月8日、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」が国会に提出されました。この法案には個人向け新型コロナ対応休業支援金や雇用調整助成金の上限額引上げ等が盛り込まれており、会期末(17日)までの成立を目指しています。

 

◆個人向け新型コロナ対応休業支援金とは?

 雇用調整助成金が活用できない企業の労働者を対象に、休業実績に応じて賃金の8割を支給(上限月額33万円)するものです。企業に雇用されている人であれば、雇用保険の被保険者でなくても支給されます。この支援金について、政府が企業の休業手当支払義務を肩代わりするものではないと、厚生労働省の審議会で示されています。また、田村憲久元厚生労働大臣は、支給に際して企業に休業手当を支給していないことがわかる書面を発行させること、また、受給した労働者を雇用する企業に対して休業手当不支給につき指導等を行う可能性があることを出演した民放番組で発言しています(6月9日放送「報道1930」BS-TBS)。

 

雇用調整助成金の上限額引上げ

 上限額の1万5,000円への引上げについて、厚生労働省の審議会では、すでに支給決定している部分についても、4月1日に遡って差額が支給されると、示されています。また、これまでの上限額(8,330円)で労使協定が締結済みである場合、締結し直す必要はなく、変更して、休業手当率が引き上げられる人について引き上げたもので申請すれば、引き上げたもので支給決定されると、示されています。さらに、生産指標について、売上への影響が1年後や特例期間を超えたときなど遅れて出る業種について、直近の売上に影響する取引に関する指標で評価することも可能で、相談により対応可能な部分があり得ると、示されています。

 

求められているのは「雇用維持」

 コロナ問題で深刻な影響が生じていますが、企業が政府の支援措置を活用せずに労働者の解雇等を行い、有効性が争われた場合、無効となる可能性が高いといわれています。雇用維持が困難な状況で負担を抑える手段は、解雇に限られませんが、労使関係を悪化させてしまうと、その手段を講じるチャンスを失いかねません。まずはどのような手段を講じ得るのか、専門家に相談したうえで実施しましょう。

 

 

 

~ 7月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]

 

10日

 ●健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>

  源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]

  雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]
      <前月以降に採用した労働者がいる場合>

  労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

 

15日

 所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]

  障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

 

31日

 所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]

  労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>

  健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

  健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所] 

 ●労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

 ●外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)
       <雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]

 ●固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。

 

 

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