増木コンサルマガジン

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利用者急増!"退職代行"サービス

◆“退職代行”とは

 近年、退職代行サービスの利用者が増加しています。退職代行サービスとは、
直接退職の意思を伝えることが難しい従業員に代わり、退職意思の伝達や、
処理を行うものです。利用者は退職する企業と一切やり取りをすることなく、
自分で辞めるよりもスムーズに退職できると謳う業者が多いのが特徴です。

 一方、弁護士のいない代行会社も多く、その場合は利用者の意思・希望の伝達
以上のことはできません。退職にまつわる交渉等をするには、企業は従業員本人と
連絡をとらなければなりません。費用は3~5万円が多く、弁護士に依頼するよりも
当初の費用は抑えられますが、代行する行為にも制限があるのが特徴です。

 

◆背景にある問題

利用者が増加する背景には、さまざまな問題があります。
退職代行サービスを利用する理由として多いのは、次のようなものです。
 

 ①退職の意思を伝えたが、人手不足や上司の多忙等を理由に受け入れてもらえない

 ②パワハラがあり、相手の態度・言動が怖くて退職を言い出せない

 ③執拗な引留め交渉に時間を取られたくない


従業員本人としては退職の意思が固まっているにもかかわらず、
企業側がそれを受け入れないという状況が読み取れます。
「自分の意思が尊重されないのでは」という思いが利用者側にあるようです。

 

◆企業の対応

 従業員が退職代行サービスを利用すると、ある日突然、代行会社から
企業に連絡がきます。書面や電話等により「当該従業員は本日より出社できない、
有給を消化したうえで退職したい、以降の連絡は退職代行会社へしてほしい」
という旨を伝えられることが多いようです。突然出社しなくなるため、
退職の理由を従業員本人から聞く機会もなければ、業務の引継ぎも難しい場合がほとんどです。

原則として退職は自由です。それが従業員本人の意思であれば、
企業は退職を受け入れ、必要な手続きを速やかに行うのが一般的です(交渉すべき事項がある場合は除く)。 
問題がこじれるのを防ぐためにも、従業員が退職代行サービスを
利用しなくてもよいと思える環境を企業が整備することが求められます。

 

 

2020年は「未払い残業代対策」が課題の年?

 

◆セブン‐イレブン・ジャパンで未払い残業代問題

昨年12月、セブン‐イレブン・ジャパンは、パート・アルバイトの
残業代が一部未払いとなっていた件で、永松社長が記者会見で謝罪
しました。同社の支払不足額は2012年3月以降分だけで4.9億円
(遅延損害金1.1億円含む)に上り、1人当たり最大280万円となっていました。

原因は精勤手当や職責手当等、残業代の対象となる手当を含めずに
計算していたことにあり、12月15日掲載の東洋経済ONLINEの
記事によれば、「2001年に計算式を変えた際、式に基づいて計算が
正しく行われるかという確認はしていた。しかし、人事や労務管理の
プロである社会保険労務士によって計算式そのものが正しいか確認
された記録はなく、今までミスが放置されていた」ということです。

 

◆今年4月以降、未払い残業代リスクはさらなる脅威に

昨年12月27日、厚生労働省は、賃金等支払いを請求する権利の時効を
現行の2年から原則5年へと延長する方針を固め、4月1日以降、
労働基準法が改正される見通しとなりました。
改正法施行後も、当面の間は3年とされる見通しですが、
5年経過後に見直し、以降は原則どおり5年とすべきという意見も出されています。

つまり、未払い残業代が発覚した場合でも、これまでは2年分の不足分を
支払えばよかったのですが、2倍以上の金額を支払わなければならないこととなります。

 

◆残業代が適正に支払われているかチェックを受けましょう

4月1日以降は、時間外労働時間の上限規制も全面施行となるため、
残業時間のカウントと残業代の支払いに注意を払う必要があります。
ソフトやクラウドサービスを利用しているから大丈夫と思っても、
セブン‐イレブン・ジャパンのように計算方式が誤っていて、未払い
残業代が発生し続けるといったこともあり得ます。二の舞を踏んで
危機に陥らないためにも、一度チェックを受けてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

~2月の税務と労務の手続期限[提出先・納付先]~

 

3日

〇贈与税の申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

 

10日

  〇源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

  〇雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

   [公共職業安定所]

 

17日

  〇所得税の確定申告受付開始<3月15日まで>[税務署]

※なお、還付申告については2月15日以前でも受付可能。

 

3月2日

  • 〇じん肺健康管理実施状況報告の提出[労働基準監督署]
  • 〇健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 〇健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
  • 〇労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
  • 〇国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
  • 〇固定資産税・都市計画税の納付<第4期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。

 

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