増木コンサルマガジン

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コロナ禍における賃貸市場の影響

今回は、新型コロナウイルスによる賃貸市場への影響を取り上げたいと思います。

 

弊社の場合、コロナ禍においてもっとも大きかった影響が事業用物件賃料交渉でした。とくに飲食業、工場系、学習塾、巨大施設(モール)等と取引をしている企業、イベント業の借主様からご相談が多く寄せられました。どれもコロナ禍において打撃を受けた業種です。

 

その結果はオーナー様のご判断によっても異なる部分ではありますが、おおむね3か月間20%~25%程度の賃料減額が行われることになりました。

 

賃料の減額を決断する際の判断材料は以下の3つです。

 

①長きにわたって借りてくれているか?

②もし空いてしまったら、すぐに空きを埋められるか?

③新たな借主が今と同じ賃料で契約してくれるか?

 

 

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①長きにわたって借りてくれているか?

これは、言い換えると貸す側と借りる側の信頼関係の有無になります。

今回、貸主様が「長いこと大切に借りてくれている恩があるから…。」という理由で賃料減額を承諾したケースが多々見られました。

一般的に賃貸の借主には「善管注意義務(善良な管理者の義務)」という、物件の維持管理に努める義務が課されています。しかし、これが守られないことも決して珍しくはないのが実際のところです。

日頃から貸主と借主で良好な関係を築いておくことは、とても大事なことだと感じます。

 

 

 

②もし空いてしまったら、すぐに空きを埋められるか?

賃料減額を断って借主様が解約してしまった場合、そこからどのくらいのスピードで次の借主を見つけられるか?という点です。商業的な好立地であればそのハードルは低くなりますが、昨今のいつ好転するか予想がつかない経済状況だと、難しいことがほとんどです。

 

 

 

③新たな借主が今と同じ賃料で契約してくれるか?

賃料減額を断って借主様が解約してしまった場合、次の新たな借主がいくらで契約してくれるか?という点です。とくに倉庫や工場に多いケースですが、建築当初から何十年も長きにわたって借りてくれている場合、「建築時の賃料相場」と「現在の賃料相場」にギャップが生じている場合があります。すると、新たに借主を募集する際には今まで通りの家賃とはいかず、「現在の賃料相場」に合わせた賃料を設定しなければなりませんので、収益が下がる可能性があります。

 

 

 

以上のポイントを総合的に鑑みてご提案させていただき、最終的にはオーナー様が決断を下します。なかには、賃料の減額ではなく“支払いの猶予”という手段をとられた方もいらっしゃいました。

 

私はいつも、「賃貸経営は『借りていただく』そして『貸していただく』という双方の気持ちが必要になります」とセミナー等でお話させていただいておりますが、こんな時だからこそ、その考え方が重要であると改めて考えさせられています。

 

他にも、「事業者に対する家賃支援給付金」などを利用された方もいらっしゃいました。気になる方はぜひチェックしてみてください。

https://www.meti.go.jp/covid-19/yachin-kyufu/index.html

 

今後は「Go To キャンペーン」や「Go To イート」などのキャンペーン効果を期待したいと思います。

 

宅地建物取引士

賃貸不動産経営管理士

五十里

 

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