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【おしえて!先生】未登記の建物、そのままでいいの?

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A.司法書士の仕事をしていると、このような未登記問題が出てくることがよくあります。一口に未登記といっても色々なパターンがありますが、相続による不動産所有者の変更を申請をしていない相続未登記パターン、建物を新築したけれどもその登記をしておらず、そもそも登記簿が存在しない建物未登記パターンあたりがよくある事例です。このような場合どのような問題が出てくるでしょうか。

 

 まずそのアパートの所有者は本当にお父様ですかという問題があります。たとえ固定資産税を払っていても所有権があるという証拠にはなりません。第三者からしてみると、建物の登記簿がなければ、お父様が建てたアパートなのかわかりませんし、相続登記がされていなければ、本当にお父様が単独で相続したアパートなのかわかりません。

このような不動産は、所有者が本当は別に存在しているかもしれない怪しい不動産と思われ、不動産業者さんに借主の募集をお願いしても、先に登記をしてくださいと断られてしまうケースもあるかもしれません。

 

 また相続登記がされていなかった場合には他にもリスクがあります。おそらくお父様は他の相続人と遺産分割協議をしてアパートを取得したものと思われます。

 しかし、その登記がされていないと、例えば他の相続人に借金があった場合、その債権者が法定相続割合にて相続登記をし(債権者代位)、その相続人の持分のみを差押えることができてしまいます。

 民法には、事情を知らない債権者等の第三者に対しては、先に登記を入れた者を保護するルールがあるので、この場合はお父様が遺産分割で単独で取得したことを、他の相続人の債権者に主張できません。金銭を支払って差押えを抹消してもらうことになりかねません。

 

 いずれにせよ未登記問題を放っておくと良いことがありません。本当は簡単な手続きでできたはずの登記が、時間がたつにつれ複雑化し困難事例となることもたくさんあります。事案にもよりますが早めの登記をお薦めします。

 

 

回答者:司法書士法人ヤマザキ 司法書士 小鷲

 

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