増木コンサルマガジン

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意思能力と、相続対策。

こんにちは。今回は“意思能力”についてです。

 

聞き慣れない言葉だと思いますが、意思能力とは「自分の行為の結果が判断できる能力」のことを指します。

民法では、「意思能力が無い状態で行われた法律行為(権利や義務が発生する契約)は無効である」とハッキリ定められています。

 

たとえば、泥酔した人が「100万円をキミにあげるよ」と、勢いで贈与してしまったケースを考えてみてください。泥酔者は、自分の行為によってどのような結果をもたらすかを正常に判断できているとは言えません。

その結果、意思能力は無いものとみなされ、その贈与は無効になることがあります。

 

日頃、私たちは意思能力の有無について意識することは殆どないと思います。しかし、社会生活において意思能力はとても大事です。例えば、多くの方が経験のある売買契約なども、意思能力があることを前提として有効に行うことができています。

 

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相続においてトラブルになった際、よく問われる部分は「意思能力の有無」だったりします。

 

例として「忘れっぽくなった人が自分で書いた遺言書は有効か?」や「認知症のような症状がある方が遺産分割協議に参加した」等の問題が挙げられます。なかにはそれが裁判所まで持ち込まれる争いになることもあります。裁判で決着をつける必要が生じている以上、結果的に解決したとしても、親族間のわだかまりが一生残り続けてしまうことには変わりないのですが…。

 

相続対策は、始めるタイミングの難しさがあると思います。同じ年齢でも、「まだやらなくていいよね」と話される方もいれば、「今すぐやりたい!」と相談される方がいらっしゃいます。なかには「いつもなんとかしなきゃと考えているけど、ギリギリまで動きたくないなぁ」と話される方もいらっしゃいます。

 

もちろん、相続対策はご本人の意思ありきで進めるものです。とはいえ「やらなくちゃ!」と焦って行う相続対策は、前述のように意思能力を問われるリスクがあるのであまりお勧めできません。遺言書をつくってみる場合も、相続税のシミュレーションを行う場合も、エンディングノートを書いてみることも、せっかく行うのであれば余裕をもって準備したいところです。

 

ぼんやりであっても、なんとかしなきゃなぁと思った時こそ、一歩を踏み出すタイミングではないでしょうか。

 

 

つかだ

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