増木コンサルマガジン

Masuki Consulting Magazine

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たかがハンコ、されどハンコ。

 

さて、今日はハンコの話です。

菅首相の肝いりで、脱ハンコが一気に進んでいます。良いことです。

どうしてハンコが必要なのか、考えてみる必要があるようです。

 

25年以上前に、三鷹の簡易裁判所で傍聴したことがありました。

当社が管理していたアパートの家賃滞納者の裁判です。

連帯保証人の父親に対して「連帯責任を負え」という内容なのですが、実印の効力について、

裁判官は「実印は誰でも押印できる」とはっきりと言ってました。

ということは、契約の内容を理解した上で、本人が押印したと言っていない限り、連帯責任は負えない。

 

結果、本人が毎月2万円づつ上積みして支払うという内容で判決が出たのですが、当然支払うことはできず、夜逃げのような状態で出ていきました。

当社のチームメンバーの香川先生は、「勉強のために経験しておいたら」という事で裁判を起こしてくれました。

「お金がない人に裁判でいくら勝っても何にもならないよ」正しくその通りでしたが、実印の押印についての裁判官の言葉は忘れる事が出来ません。

息子が勝手に父親の実印を持ち出したり、印鑑登録証でいくらでも印鑑証明書はもらえます。

 

今は、連帯保証人ではなく、保証料を支払うのが多くなってきたようです。

目の前で、直筆で書いてもらうのが、一番の証明でしょうが、この超高齢化社会の中では、反対に善良な息子や娘が親の代わりに代行することが多いのです。

その時にハンコは大きな意味を持っています。

母親の代わりに、通帳からお金をおろす、年金の手続きをする、保険の手続きをする・・・。

任意後見契約をしておけばいいのですが、ごくまれです。

 

たかがハンコ、されどハンコです。

 

増田敏政

 

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