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相続税対策の「あらかじめ贈与」のポイント

■今回のご質問

相続税が怖いので、現金3,000万円と自宅の土地建物を唯一の相続人である長男にあらかじめ贈与しておきたいと考えています。このとき、気を付けるポイントはありますか?

 

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■贈与税は相続税より高額!

贈与税は相続税より、同じ財産額であれば税率が高くなっています。このため、一度に多額の贈与を行うと、より多くの税金がかかる可能性があります。

例えば、現金3,000万円だけ贈与した場合、贈与税は約1,200万円かかります(相続税は財産額により0円~1,650万円)。ただし、贈与税は1年(1/1から12/31まで)に110万円の非課税枠がありますので、1年で贈与を行わず5年で600万円ずつ毎年贈与すると400万程度に抑えられるなど、年数をかけて金額を抑えた贈与を行うことで贈与税は抑えられます。

あらかじめ総額3,000万円を支払うとする契約の場合、税務署に3,000万円の贈与とみなされる可能性もあるため、毎年別の契約書を作成しておくと安全です。

なお、相続開始の日(相続される方が亡くなった日)から過去3年以内に行われた贈与は相続税に含めて計算し直されますので、贈与を行うタイミングには注意が必要です。



■不動産の相続には様々な特例も

相続税では、もし長男が両親と同居しているのであれば、土地の評価額が最大8割減額される「小規模宅地の特例」も適用される可能性もあります。

また、不動産を贈与により取得した場合は登録免許税が不動産価格の「2%」かかりますが、相続により取得した場合は「0.4%」と5分の1となります。

このように不動産は様々な税金の特例が多いため、不動産の贈与を行う場合は金銭や有価証券より慎重に行った方が良いでしょう。

 

 

■贈与にも様々な特例が

祖父母から20歳以上の子・孫に対する贈与は税率が軽くなっています。また、長男の住宅購入のための費用の贈与は最大3,000万円非課税になるなどの特例があります。最近は、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与などもあります。実際に贈与される前に、こういった特例について適用できるかどうか、調べてみましょう。

 

 

■「111万円贈与」もオススメ
先述の通り、贈与税は110万円の非課税枠がありますので、110万円を贈与すれば贈与税申告の必要はありません。しかし、贈与は民法上契約の一類型となっており、贈与を受け取る側の意思表示がないと贈与が成立しません。このため、贈与税の申告をしないことで税務署が贈与契約自体の存在があるかどうかを疑ってくる可能性があります。
「111万円贈与」は贈与を受けた側で贈与税の申告と1千円の贈与税の納付が必要となりますが、申告をすることで受け取った側が贈与を認識していることを証明し、さらに税務署にも情報が残るため税務調査で追求される可能性がほとんどありません。なお、贈与をするのであれば、相続開始から3年以内の贈与とならないために、年初に行うことをオススメします。

 

 

回答者:税理士 生田目 宗忠

 

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